植物にはさまざまなセンサーがあります。植物に神経はありませんが、痛みを感じる植物特有の器官があります。それは養分を運ぶ師管。 植物が虫や草食動物に食べられたり、人間に切られたりすると、傷ついた細胞からグルタミン酸が流出します。このグルタミン酸がグルタミン酸受容体に結合することで、細胞内にCa2⁺シグナル(傷害情報)が発生し、養分を運ぶための師管を通って、全身に伝搬するしくみです。
これまで接触や日光に対して植物が反応することは知られていましたが、最近では植物が音を感知していることも明らかにされました。植物に人間や動物のような耳はありませんが、植物にも音が聞こえているのだそうです。イスラエル、テルアビブ大学の研究者が行った研究によると、マツヨイグサは花びらでミツバチの羽が立てる音波を感知しているようです。マツヨイグサには、静寂、3種の周波数、録音したミツバチの羽音を聴かせる実験を行いました。すると、静寂と高・中周波数の音では変化が見られなかったが、ミツバチが飛び回る羽音を聞いて数分もすると、ミツの分泌が平均20パーセントも増えたそうです。次に花びらを取り除いて、先ほどと同じ実験をすると、ミツの分泌量に変化は見られず、花びらが耳の役割をしていることがわかったそうです。花がボウルのような形をしているのには、このような理由があったのかもしれません。音の振動がどのように解読されているかというメカニズムはまだ解明されていませんが、植物が音を感知しているのは事実のようです。
植物がコミュニケーションを行っているという証拠も増えつつあります。人間のように、音声を発するわけではないかわりに、植物たちは微量な香りの情報でコミュニケーションをとっているようです。植物は学習することもできるという報告結果が報告されています。進化生態学者のモニカ・ガリアーノ氏がオジギソウを使用して行った2014年の実験では、非常に低い高さから鉢植えのオジギソウを落下させ、オジギソウの葉がどのような防御反応を取るのかについて研究しました。すると、オジギソウは最初のうちこそ落下に対して葉が防御するように反応していたものの、次第に「落とされたところで害はない」ことを学習していき、落下に対しての防御反応を取らなくなっていったそうです。
『Annals of Botany』に掲載された研究では、麻酔によって植物が動かなくなることが明かされました。植物たちは、朝になれば太陽に向かって体を動かし、光を浴びて光合成を行うものだが、人間用の麻酔を投与すると、そのような動きは行われなくなります。そして、麻酔が切れると活動を再開します。これは、植物にも固有の意識がある証拠なのです。
もしこれが正しければ、植物は情報を蓄え、伝え合うこともできるということになります。植物には知能や記憶、さらには感情があって、意識をもって活動しているのではないかと考える科学者も増えています。植物に意識・記憶・痛苦・感情・知性を認める植物学者たちが多くなり、「人間が植物を過小評価しすぎている」というのが最先端科学の常識なのです。 |