□器が小さくなった日本人

「自分さえ良ければ、他人なんてどうでもいい」という考えが横行しています。「これは生物の本能だから、決して悪いということではない」という意見もあるでしょう。確かにそうです。弱肉強食の世界であれば、それでいいでしょう。多くの動物たちの世界ではきっとそうでしょう。弱肉強食の世界はアナーキズムです。無政府主義です。「俺は俺だから勝手にやる。だから政府なんかいらない！」という考えもわかります。それでもいいですが、医療や年金など国の福祉制度の恩恵を受けることはできません。ある部分だけ権利を主張するだけではまとまるものもまとまりません。

人間関係が希薄になった今、道徳的におかしなことがあっても黙っている人たちが多いものです。「平和主義だから」「人間関係を大事にしたいから」「トラブルは避けたいから」いやいや、それらは全部詭弁です。本当は、自分がめんどくさいことからすーっと逃げたいだけでしょう。自分のことだけが大切で、他人のことなんかどうでもいいというのが本音でしょう。その証拠に、自分の損得がからんだ時だけ屁理屈を言うのでしょう。

世の弁護士たちも所詮は商売だから、利益が上がる案件しか取扱いたくありません。だから余計に損得の話ばかりが世の中に蔓延することになります。だから、金を持ってるやつがあがめられる世の中になります。自分もあがめられたいから、お金をたくさん持っている風にみせたがるようになります。ブランドバックや高級時計を手に入れるために、フェイスブックやインスタを使い、虚勢をはります。そもそも道徳の話になんて興味がないし、他人のことなど、どうでもいいから、自分が損しなければいいだけだから・・・

考えに良いも悪いもありませんが、すべてはバランスです。すべてはつながっているので、調和を重んじるほかありません。考えを「強制」したり、「矯正」したりするつもりもありませんが、ぜひ「共生」についてもご自身でお考え下さい。ヒトと人間が違うことをご存じでしょうか？ヒトとは、生物学上の種としての私たちのことです。人間とは、人と人の間をつないで社会を作る者たちという意味です。自分のことだけでなく、周りの人のことを考えながら豊かな社会を気づくことができるという意味で、他の動物たちと区別をした種族という意味です。「自分さえ良ければ、他人なんてどうでもいい」という考えが横行するということは、器が小さくなったことにほかなりません。悲しいかな。日本人はずいぶんと器が小さくなったものです。

後世に文化を伝えていくためには、まず、現代の大人社会全体のモラルの低下に目を向けなければならないでしょう。
・社会全体や他人のことを考えず、専ら個人の利害得失を優先すること
・他者への責任転嫁など、責任感が欠如していること
・モノ・カネ等の物質的な価値や快楽を優先すること
・夢や目標の実現に向けた努力、特に社会をよりよくしていこうとする真摯な努力を軽視すること
・ゆとりの大切さを忘れ、専ら利便性や効率性を重視すること
・新しい時代への夢を語ったり未来を切り拓く大切さを伝えようとしない大人、
大人たちがあまりにも、自分のことばかり考えて、他人はおろか、未来を憂いて次世代を育てる心さえも失っています。自分では何もしなくても、今の現状が維持されると思いこんでるところ。これこそが現代日本の抱えている根本的な問題なのでしょう。