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■CULTURE / 900:野生の思考

 
 
野生の思考
 

「野生の思考」は、非合理などではなく、科学的な思考よりも根源にある人類に普遍的な思考であり、近代科学のほうがむしろ特殊なものだと彼は考えました。「野生の思考」は、フランスの民族学者レヴィ=ストロースが1962年に出版した書籍によって強く訴えたベストセラーです。

動物には「野生動物」と「家畜動物」がいます。動物の感覚を私たちが想像する限り、彼らの幸せを実感する豊かな心は、きっと「野生動物」が「家畜動物」に勝ると考えることができるでしょう。行き過ぎた管理社会の到来は「人間の家畜化」を意味し、それは私たちの思考を単一方向に導き誘導しています。経済が発展したことによって素晴らしい文明を享受している私たちですが、同時に、「金がなければ何もできない」という思考を私たちに押し付けました。

レヴィ=ストロースは、「構造主義」という手法を用いて、「野生の思考」が、決して「科学の思考」に劣っているわけでないことを証明しました。近代文明だけが「最も進んだ唯一思考」なのではなく、地球の奥地に形成されたコロニーにおいても、先住民たちの考え方は、豊かな人間性を備えたものでした。人間は、どんな部族も等しく知性によって文化を形成し、決して、私たちが知る「現代文明」だけが優れているわけではないということです。

盲目的で神秘主義的で非科学的な風習と見られていた多くの慣習についても、科学的思考とは異なる考え方でありながら、論理的な構造を持ち、社会的な効率性を備えた集団行動であることが確認されています。

「科学的思考」はリスクや失敗には寛容になれます。なぜなら証明の過程においてそれらは通過しなくてはならない事柄だからです。しかし、無秩序だけは許容することができません。科学的思考は明らかな事実から始めて、物事を論証によって正確に秩序立てることが求められる思考法だからです。無秩序に直面した際に、科学的思考は秩序立てる道筋が得られるまで、その対象を分解していくことを選びます。

しかし、社会的な事柄や、文化に関することなど様々な要素が複雑に絡み合っている場合、また過去に事例のない事柄に直面した際には、問題をより低いレベルの小部分に分解できないこともあります。仮に分解できたとしても、「ある特定の限られた条件下において」という前提が必要となる場合もあるでしょう。そのような特殊な前提の導入は事実を極端に歪めてしまう危険性もあります。

一方、「野生の思考」は無秩序に直面したとき、その状況をあるがままに鷲掴みにして、全体として「直観的に把握」します。そして鷲掴みにした直観的把握に基づいて、事態を恣意的に(ときには偶然に従って)分類します。分類することによって理解するより前に、実際に生活圏に取り込んでしまうのです。その上で対象となる出来事や物事に恣意的なイメージを持った記号を与えて、その記号を用いて他の出来事や物事と組み合わせていきます。様々な組み合わせを試み、変換を繰り返して徐々に消化していくのです。

「科学的思考」が過去から連なる歴史の積み上げによる「理論的裏付けのための抽象思考(自然科学的秩序の解明)」だとすれば、「野生の思考」は同時的な構造の解釈による「現実的な実践のための具体思考(社会的関係秩序の導入)」だといえるでしょう。

現代人たちが絶対視しているのは、もともと西洋から流入した文化ですが、これこそが素晴らしいと考える「自文化中心主義」は、思考操作による洗脳の賜物でしかないということです。これは、「自分たちの宗教こそが正しくて、他の宗教は間違っているのだ」と思考のプロセスは同じであり、このような思考が、いかに争いを生んできたかは歴史を紐解けば明白なものでしょう。

エジプトのピラミッドは、「現代科学」では作れません。建設方法は未だに物議をかましています。世界各地の遺跡には、現代よりも進んだ文明の痕跡がたくさん見られます。先住民たちの文化から学び、現代にその考え方を復活させていこうとする考え方は、単に劣った文明に戻しましょうということではありません。今ある文明と共存しながら、いかに人間の野性的な幸せの価値観を取り戻すかというアプローチなのです。

 
 
 
 

 

 
 
 
 
 
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