14世紀ごろに南方の島々からニュージーランドに移り住んだポリネシア系の先住民がマオリ族です。樹木や岩、水などの自然には霊的な源や力が宿っていると信じ、森羅万象を敬い、農耕や採集をしながら暮らす民族でした。今でもマオリの精神と文化は残っており、ニュージーランド国民の約15%がマオリの血を引いているといわれています。マオリ族はがっしりとした体格に褐色の肌が特徴で、顔や腕には家族や自分の所属する部族を意味するタトゥーを入れています。 自らのルーツを重んじるマオリ族にとってタトゥーは大切なもの。 タトゥーを見れば人目で同族かどうかが分かるので、戦いのときにも敵か味方かを判別するのに役立ったのだそうです。日々の生活が狩猟で文字が元々無かったマオリ族は、衣服、装飾品、武器、建築全てに彫刻を施し独特の物語を表現し文化を伝承しました。 彫刻は男の仕事で、女性は手作業である編み物が多く、ハラケケの葉を使ったバスケット・マットなどを作りました。
彼らの挨拶は鼻と鼻をくっつけ合い「キオラ(Kia Ora)」と言います。 マオリの考え方としては全てのモノには命の息吹が宿ると考えられ、「命の息吹が宿る」とされる鼻を触れ合わせることで、「相手と一体になる」と考えられています。 今では各国のVIPが来たときのみなどに見られ風化しつつあります。
マオリ族の土地は、ニュージランドに進出していたイギリスとの軋轢を機に、一度奪われました。長期に及ぶ交渉のすえ、2008年にニュージーランド政府がようやく土地の大部分をマオリ族に返すことになりましたが、
「75パーセントを占めていた原生林が20パーセントまで激減した状態」での返還でした。現在は、1000年先の未来を見通して、本来の暮らしを取り戻し、ここに仕事を生み、部族として自立することを目指しているようです。「西洋人たちは、利益を得るために大地を使う。でもマオリは、大地をケアしたその先に利益が生まれると考えている。私たちのやり方は、昔は原始的で野蛮なものだと馬鹿にされていたけど、でも今は、やつらがそのやり方を教えてくれとやってくる。生態系を壊さず、世代を超えて自然をケアしながら生きることがマオリのやり方だ。本来こうあるべきなのだ。」と彼らは言っています。
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